12月

だいぶ昔の冬のこと。
「……あのね。」
お母さんの運転する車の助手席に座って、隣の運転席にいるお母さんに聞いた。
「サンタさんって…お母さんとお父さんなの…?」
私も、それを聞いたお母さんも、ふふふ、って、ちょっと笑ってた。
「…うん…。そうだよ。」
クスクス笑いながら、そう答えるお母さん。
そうだよね、当たり前だよね。
まぁ、その時はさ。質問した動機だってそういうことだったわけだし、二人でクスクス笑ってたのも、当たり前だよねぇそうだよねぇ…って意味で、おかしくて笑ってた。

でもね…。
それがどれだけありがたいことだったのか…。
それがどれだけ嬉しいことだったのか…。
ただでさえ、大人になった人は必ずと言っていいほど実感するのに。
EDENにいる私は、それをもうお母さんに伝えることはできないんだ…。あることとすれば、思い出した時に寂しくなることくらいで。
変だよね。楽しかったはずのクリスマスなのに。


「……考え事?」
すごい顔して考えてたのかな。横にいたクールの声で、ボーっとしてたところから目が覚めた。
意識が現実に戻って、寝る前にベッドに座ったままずっと部屋の壁を見てたことに気づく…。
「……眠いの?」
「ううん…。」
そこまで眠すぎるってわけではないけど…。
抱きついたら、パジャマがふわっとした。
「……何?」
「ううん、なんでもない。」
「…なんかあるだろ。」
…なんでもない、わけないよね。
考えてたのはバレてたもんな…。
なんて言おうか迷ったし、いきなり言ったら笑われるかなとも思ったんだけど。
「……生きててくれてありがとう。」
これだけ言ったら…何を考えてたかはわからないだろうけど、言葉そのままは伝わって何かを察してくれたみたいだ…。
頷いて背中ポンポンってしながら「アナタもですよ。」って言われた。ちょっと笑っちゃったけど、そうだよね。
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