ババ抜きは苦手だ。

「…はい。取って。」

たった2枚のカードを持ってそう言った。
あの頭のいいクールとババ抜きをするんだからさすがに一筋縄ではいかない。
目を瞑ろう。
これなら完全な運勝負にできる。
…それに、見なくていいから緊張しない。

アウトのカードだけ覚えて目を瞑ったら、なんとなく笑いが出そうで。ちょっとはびっくりしてるかな、って。
それも頑張って抑えてた。

「…ふ~ん?」
それでも返ってきたのは、いつもみたいな全然ブレない声で。そうだよな…。

そう思った数秒後。
ちょっと動いたのはわかったんだけど、カードを引くわけじゃないのに近くにいる。
何してるの?って聞く前に、肩に腕を回されてた。
「…!?」

あ、と思ったときには、そのままキスをされちゃった…。

離れるとき、ついでみたいにセーフの方を引いていくんだよね。

瞑ってた目を開けて質問する。
「…なんで?」
「そりゃぁ、そっちが目瞑ってんだから、正解見に行けばいいだろ?」
「あ…。」

さっきの間は、カードを見てたんだ…。

咄嗟に思いついてやってみても、
「…甘いな。」
こうやって笑って返されるんだよな…。
「真面目にやることに集中しすぎなんだよ…。」
「う…。」
…なんでいつもこうなのか。

「…まぁ、読み対策としては頑張った方だけどな。」
そう得意げに返されてもな…と思っていた自分の額に、もう一回キスをされて、そのババ抜きは幕を閉じた…。
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