6月 Promised happiness

ミミドリとユイランの二人が、ボールを追いかけた先…向かい側の土手の坂の下に、なにやら屈んでいる。


「…あの子があなたのことすごく好きなのは、知ってるでしょ?」
さっきよりずいぶんと向こうにいる二人を見ながらこう聞くユイレンは、少し落ち着いた調子になっていた。
「…それは当たり前だよ。」
「うん…好きな人に助けてもらってさ、それだけで十分幸せなんだよ。」
「……。」
「一時はどうなるかなと思ったけどね…。一緒にいられて嬉しいんじゃないの?」

時折移動もしながら、その辺りの何かを探している、向こうの二人。その、遠くの屈んだ背中を見たまま、ユイレンは続けた。

「もしあのままだったら、今みたいになるのには時間かかってるわよ。」
「まぁ……そうかもな。」
「…あと、一緒にぐっすり寝ることもなかったしね。」
これを聞いたクールは少しふっと笑って、こう言う。
「今はすっかり、あいつも一人でちゃんと寝てるのか怪しくなってきたけど。」
「…うん…確かにそれはそうね。」


向こうの土手の下。
「……あ!あった。」
ミミドリが声を上げたところに駆け寄るユイラン。
「どれ?どこにあった…?」
ミミドリが、探し当てたものが見えるように、周囲に生えているものたちを少しどかして見せた…。
「これ。」


「でも、あなたもちょっと変わったね。」

分かれて何かを探していた二人が、ミミドリの手招きで再びまとまったのが見えた。呟くユイレンの言葉をただ黙って聞きながら、クールもそれを見ている。

「もともと、こうやって話するタイプじゃなかったから。」
そう言ったユイレンが少し隣に目をやると、無言で頷くクール。
「…大事にしてやんなさいよ。」
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