6月 Promised happiness

もう一度、下lの広い芝のところに視線を戻すと、さっきまで何かを探していた二人が、ゆっくりこっちに歩いて帰ってきていた。
ユイレンが立ち上がって二人の方へ歩いていく。
「二人して、何探してたの?」
歩み寄りながらユイレンが聞いた。

「これ、見て。」
ミミドリが見つけて摘んできた植物は、綺麗な葉の輪ができていた。その葉が造る輪は、まだあまり形崩れしていない綺麗なもの。

「四葉か!すごいね!」
「クローバーあったから、四葉ないかな~と思って…。」
その後ろから、ボールを持ってついてくるユイランもこう言う。
「レアだな。あっても普通は見つけるのにもっと時間かかるし。」
最近雨が多かったのが影響しているのだろうか。日陰で水分が少し多い場所…四つ以上の葉を持つクローバーができやすい条件というのは、意外と難しい。このクローバーも、他の背の高い三つ葉たちの陰に生えていたものだ。

ユイレンが去った少しあとに立ち上がったクールが、ゆっくりこちらに歩き出した。
「…それ、見せてきなさいよ。」

さっきまでの話はあとでもいいだろう。そう思いながら、ユイレンはミミドリの背中をポンと叩く。
まるで、さっきの話を何かが聞いていてそこに出したかのような…綺麗な四葉のクローバーだったから。
「え、えぇ…。」
「いいからいいから。」
彼女は照れくさそうにしていたが、まだ少し離れたところにいる彼のもとへ、歩いていった。


「…見て。」
「…お~、おめでとう。」
「うん…。」
もう少し興味無さげな返事が帰ってくることを予測していただけに、そんな言葉が出てくるとは思わなかった彼女は、戸惑った。
もともと照れくさいのも相まって、どう続けたらいいかわからず、
「…はい、あげる。」
そのまま、笑って彼に四葉を手渡した。
…照れくさいのが彼にバレバレだ。
そして、彼も、いきなり渡されたことに笑う。彼女がまた照れくさい反応をするので、わざとらしく丁寧に「ありがとう。」と言って、彼女の頭に手を置いた。
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