Side Cool


――― 2週間後

あいつと歩いてる時にやけに例のガキに会うのが不自然だった。
転々としてるのはなんとなくわかるが、行先がかぶるのは果たして本当にここが狭い街だからってことだけなのか…。
あれをそのままにして置く気には当然なれない。

そこである日の夕方、あのガキを探して、あとをついて行くことにした…。

さすがにその行く先が、倒壊した建物だらけのどこよりも寂れた地帯だとは思わなかったが…。
それなら尚更あのままにしておくわけにはいかない。

見失わないようにしながらついて行った先は、思った通り、辺境の廃団地。
確かにここなら…辛うじて子供一人で生活していてもまだ納得がいく。
…だからと言って、一人だと決まったわけじゃない。
そう思って、後をつけながら階段をゆっくり登っていくと、最上階の部屋の扉に入ったのが見えた。

扉から漏れてくるのは、男の声。
…バカ騒ぎしてる奴らが出す声で、怒ってるような。

更に階段を登って、扉に近づいて見ると、その声がまた鮮明になる。
『ちゃんと渡したんだからそれでいいだろ!お前の取り分はそれだ。』
どう考えても、あのガキの声とは思えない。おそらくはさっき入った奴の……。
『知らねぇ!メシぐらい自分でどうにかしろっていつも言ってんだよ!』
『……なんで……いつも……。』
怒鳴り声の後に、必死にひねり出すような声がする。
『……なんでもクソもねぇ。俺が躾けて、こうやって暮らさしてやってんだから、このぐらい寄越せっつうの。』

まさかと思った疑問が晴らされたのも、次の一瞬で…。
『…返して…お父さん!?』
『…うるっせぇな。』
『あ、やめて…!…やめてよ!』
明らかに転んだような音だった。
音を立てないようにドアのレバーに手をかける。

「………。」
廃団地になった後につけられたらしい、壁の上の方にある配線に沿って小さい電球がある廊下の奥に。
部屋の中で黙る小さい影と、その前を素通りして部屋を出ようとする影。

扉を開けて入った俺に気づいてビビったらしいそれが一瞬固まってる間も、俺には躊躇はなかった。

そこそこの大きさのナイフを取って俺に掴みかかってきたそいつの胴に、脚を絡ませて、バランスを崩したところを突き飛ばした。
色が剥げて古くなった床に仰向けに倒れる男と、その男の手から滑り落ちたナイフを見て、部屋にいたガキが奥の壁まで後ずさったのが、視界の端で見えた。
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