The juvenile ~ 最終章
真夜中の廃棄地帯を、小さな影が走り抜けていく。
その行き先も、先の未来も、分からず。
……朝。
「あら……ボク、どうしたの?一人?」
あのアーケードの途中の横道…壁に背をつけて座り込んでいる少年を見つけて声をかけたのは、あのパン屋の店主。
「………とりあえずうちにおいでよ。」
少し頭を上げた少年の、泣きはらした顔を見た彼女は、それだけ言って笑った。
―――1週間後
「今日はあの子いるかねぇ。」
「いるんじゃない?」
喋りながらアーケードに歩いてくるのは、結蓮とミミドリ。
前に出会った少年のことを話しながら歩いてくると…。
「…あれ?」
そこにはこれまでとは少し違う少年の姿があった。
パン屋の店主のところにいて、なんだかちゃんとした服まで着せられて、二人が来たのに気付くと嬉しそうに近寄ってくる。
「…あら、一緒にいるの?」
「そうなのよ。この前ここで泣いててさ。お父さんもお母さんもいないって言うから…。」
「…そう…。」
話す結蓮と店主をよそに、少年がミミドリに話しかけた。
「あのねぇ…。」
「うん?」
「一緒にいたお兄ちゃんが…助けてくれたの。」
「……え?……あぁ……。」
お兄ちゃん、と言われて一瞬ピンとこなかった彼女は、少し時間がかかったが、それがおそらくクールのことだろうと理解する。
…だがそこで落ち着きかけたすぐ後で、助けてくれた、という言葉が引っかかった。
「…何かあったの?」
「あの……お父さんが…いつもすごく怖くて…。」
「………。」
「お父さん、止めて…出してくれた。」
「う~ん……そうか……。」
この少年の父親が何か虐待じみたことをしていたのだろうということと、それを彼が止めてこの少年を外に出したということは、彼女にも伝わった。
