Beginning ~ 序章
歴史的な大地震を境に大陸から離れ独立した街―――EDEN。
その街が"楽園"と呼ばれるようになってから…更に、どれくらいの年月が過ぎただろうか。
政府や統一機関なども存在しないこの街だが、いつからか、食べ物など最低限必要なものを送るための貿易船が、外の国から出されるようになった。
表面上は、必需品を独自に仕入れる者たちの功績で構成されているのだが、そこに、銃や刃物などの武器・ドラッグなどを売り渡す者たちがうまく紛れることで、そういった類の物もこの街にやってくる。
このどこにも属さない離れの地が滅びなかった大きな要因は、そこで食料などの供給があったこと…つまりその貿易船のおかげだった。
…だが、この街が行き場のない者の集まる場所と化したのも、一般的な社会では禁じられたような選択肢を悠々と選ぶ者が現れるほどの無法地帯と化したのも、その犯罪が成長し激化したのも…貿易船がきっかけの一つ…。
それこそ、ある意味では、この街が"最後の楽園"と呼ばれるに相応しい場所になったと言えるのかもしれない。
良くも悪くも、その貿易船の影響を受けている場所がある。
広い一本道のアーケード商店街が、地震の後に様々な者たちによって立て直されて作り上げられた、市場。
金銭での購入はもちろんだが、物々交換を取り入れているところも中にはあった。
そしてその物々交換を受け入れている店の、更に一部の店主たちは、銃や刃物・薬物などであっても、交換を受け付けている。
…むしろ、それらを欲していると言った方が、正しいかもしれない。
そこにひっそりと、何かで大量に薬物を入手した者や、そういった物々交換のために他から入手してくる者が、その薬物や武器などを持ってくるのである。
その薬物を自らの夢見のために取っておいて使っている店主もいれば、夜の市場や他の区画で売って何かしらの儲けを得ている店主もいる…。
この街では数少ない裏社会とはあまりつるみのない人間たちで賑わう昼の時間帯は、堂々と危険物や薬物などを売る店主は少ないものの、当然ながらそういう類の物々交換がされていることは、そうではない店主たちも知っている。
ではなぜ、それがなくならないのか。
それも、ここがEDENだからと言えてしまうところが、この街の特徴である。
まず一つ目の大きな理由は、犯罪への対処がとても追い付いていないこと。
幾分か軍の干渉があるとはいえ、そちらは主に、暴動や、長く正確な捜査の必要な犯罪、どちらかというとより大きな件が優先度の高いものとして追われている。
追っても追っても絶えることのないものや、小さな犯罪は、凶悪さの度合いが他より低ければ、後回しにされるというのが現状だ。
そして、もう一つの大きな理由は…。
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