妄想嫉妬

―――――数日前。

猫の集会所のような場所で、景色を猫に支配されながら、屈んでぼーっ…としていたミミドリの前に、化粧の濃く、スリットの入った服を来た女が、通りかかる…かと思いきや、ミミドリを見るや否や、はっとしたように表情を変えて立ち止まった。

「…あんたでしょ…。黒い翼と付き合ってんの。」
「……?」
しばらくして女がそう声をかけたので、いきなり声をかけられたことと、突然問われた内容にしてはあまりにも奇妙なものだったこととで、ミミドリはひどく驚いてしまった。
「…あの人のこと何だと思ってんの?」
「……へ?」
…なんであんたみたいなショボいのがあの人と付き合ってんの。
女はそう胸の内で言っていた。
「…あの人がかわいそうなんだけど。」
「………。」

…何かしたっけ?クールが何か嫌がるようなこと…?裏で何かあった…?それとも私が釣り合わないからか…?そもそもこの人は一体誰で、なんで自分にそんなことを…?

未だ状況理解に至らない上、何を言うべきなのかも、この女は何を言い返してくるのかもわからず、必死に頭を回して驚き怯えている彼女に対して…。
「…ホントに付き合ってんの…?付き合ってんなら自信あんでしょ…?自信あるんだったらなんか言えば?」
女はこう言って、ミミドリを蹴った…。
「何も言えないような人が付き合ってんの?なんで私だってこんなに好きなのに、付き合えないわけ?」

尻餅をついたまま顔面蒼白で目を逸らす彼女を尻目に、ただ勝手に怒りを飛ばしながら、女は去った…。
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