妄想嫉妬

「はぁ…。」
古めの建物でどこか空気の薄暗い…キャバクラのような場所で、ソファに座った一人の若い女が大きなため息を付いている。
「ナギちゃ~ん…。どうしたの…?一緒に飲んでよ~。」
「う~んなんでもないよ~。」
「なんでも聞いてあげるよ。」
「別にいい。そういう話じゃないから。」
「えぇ?なんでそんなため息…?もしかして疲れてんの?」
「…まぁそんなカンジ。」
「んじゃ、尚更喋って飲まなくちゃねぇ。」

夜の、ネオンサイン輝く賑やかな繁華街…その裏通りは、表通りとは比べ物にならないほど寂れている。
繁華街に面する背の高い建物の裏には、また同じくらい背の高い建物があり、その間の道は、もはや暗い裏路地だった。
その建物の階段になっている入口を登ると、そこにひっそりと、階段を上がった扉の前に、飲みの場らしき…どちらかというと、女性の色気のある大人びた看板が、置かれている。

「…ナギちゃん…俺今日疲れちゃったよ…飲ませてくんない?」
「え?あんたも来たの?しょうがないね…。」


………今日も、その階段を登って、扉を開けて入っていく男達に、女たち…特に、一際リーダー格のような性格をしていそうな、目立つ、ナギと呼ばれた女は、相手をしていた………。
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