二章


「はいはい、ちょっと待って…一本ずつね。」
皿を置いて屈み、小声で話しかけながら、ペーストの袋を一つ取って開けると、それだけで猫たちの勢いが増す。
…我先にと食べようとする猫をまとめるのも、大変だ。
「一人ずつ一人ずつ。あんたはちょっと待って…。」
半分くらいを食べさせ終えると、次の猫に。そしてまた次の袋…と、忙しくも微笑ましい時間を過ごしていると。

後ろの方で待っていた猫が、彼女の歩いてきた方を見て、鳴き出した。
不思議に思って振り返った彼女が見たのは、大きな緑色の体をした人物…。
「…あ。」
「…!」
向こうもこちらを見て驚いている様子だったが、彼女はすぐにそれが誰だかわかった。
おそらく彼…タロウも、きっと猫たちに会いにやってきたに違いない…。
「…初めまして…。」
「…見ない顔だな。」


その数十分後には、その二人は一緒に、まだ閉まっているあの双子のバーの中にいた。
「…でも、びっくりしたでしょ?」
そう言う結蓮だったが、二人がついに出会ったことに少し喜んでいる様子である。
「そうでもないよ?」
「二人から、聞いていたからな。その子かも、と思ったんだ。」
やっぱり二人は打ち解けやすいのね、と言いながら、結蓮は二人の前にココアの入ったコップを置く。
「実はね、私もちょっと二人に会って欲しかったの…。ちょこちょこ行かせてたらそのうち会うかな~と思って。」
「…会わせたくて仕組んでたのか…。」
ミミドリが突っ込んだので、結蓮とタロウは少し笑った。
「会うまでちょっと長かったわね。」

しかし、その後。

「…でも、オレも、最近外に出るの、減ってたからな。」
なにやら困ったような調子でタロウがそう口にする。
「何かあったの?」
「あぁ、この前、あのカルロスが騒ぎを起こした、って聞いた。」
心配そうに聞いた結蓮だったが、タロウのその言葉で、以前のことを思い出した。
「…うん。でも、大丈夫じゃないかしら。もう捕まったわよ。」
「うん…そうか…。なら、いいんだ。」

タロウは、人造人間であり、カルロスによって生み出された存在である。
彼本人は、詳しい生い立ちの詳しい記憶はほとんど欠けているものの、カルロス率いる連中により自分が生まれたということは知っていた。
そのカルロスが、人物に賞金をかけるなど、表で話題に出るほどの騒ぎになっていたため、彼はしばらく身を潜めていたのだ。

「オレにとっては、仕方ないことだ…。でも、捕まったなら、安心だ。」
「…うん、そうね…。まぁ、新しいお友達もできたし、これからはまたちょっとお散歩したらどう?」
「また今度会おうよ。」
まだ少し落ち込んだ様子のタロウに二人が声をかける。
「…そうだな…。今日は、猫に会うのも、久しぶりだった…。また今度、な。」


EDENにいる者たち…特に彼のように過去に秘密を抱えた者には、心の平穏を保つのにも苦労が要る。
この穏やかな時間は、いつまで続くのか。

裏では、再び影が動き出していることを、この三人はまだ知らない…。

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