最終章

13...

クールがあの男から聞き出した通り、A棟にあった大きなハッチの鍵を開けて階段を降りると、そこは、奥へまっすぐ伸びる廊下に、左右の壁にいくつかの扉がある地下室だった。

ある程度探した後、そのうちの一部屋から見つけ出したミミドリは、縛られたまま泣いていた。
…間違いなく、この状況から来る感情の振れに、薬の効果で追い打ちをかけられている状態だと言えた。
しばし抱きしめたあと縄を切って、彼女を抱えてハッチの上の地上に続く階段を上がる。

他の部屋には何があったのかなど気にする余裕もなかったが、あれだけ部屋があったということは、迷わせる目的があったのかもしれない。
最終的には、自分だけでも道連れにできると思っていたのか…。
そして、彼女を探している間に見た他の部屋から推測するに、おそらくこの地下に、資料などの証拠が詰まれている…。
つまりここを破壊することで、面倒な証拠隠滅をすぐにやってのける仕組みだった。
全ての資料が隠せるわけではないが、それでも、崩壊した場所から資料や証拠を探し出すには、どれくらいの手間がかかるのか…。捜査の遅れから中断に持ち込むには、十分すぎる手段だ。

階段を登ってハッチを出ながら、彼は脱出の手段を考える。
彼女も呼吸がまだ引っ掛かる感じはあるが、徐々に落ち着きを取り戻していた。
…というより、安心とこの状況への緊張が入り混じって、気が引き締まっている、と言った方がいいかもしれない。

ハッチの蓋でどけられた、植え込みの長い垂れ葉が揺れ、その蓋の下から二人は地上に出た。
「……出るの?」
少し遠くのヘリの音を聞いたからなのか、彼女が聞く。
「…ヘリでね。」
彼女を抱えて階段を登り終えると、少し空を見上げながら彼はそう答えた。

なんとかヘリで脱出しなければならなかったのだが、ヘリが待機をしているのはB棟だ。そこまで行って屋上まで上がる時間があるかどうか、怪しいところだった。
もし本当にここが壊れるなら、彼女を見つけて部屋を出る時に出ていた残りの時間は15、6分程度…。

考えていた彼の様子と、ヘリの音の距離で何かを察したのか、また口を開く。
「……そこまで、遠い?」
彼は返事に迷って、少し唸っていた。しかし、
「…あのさ。ちょっと…。」
「…?」
…言われて、彼が彼女を降ろすと、降ろした彼女が、持っていた携帯を開ける…。
「…呼べない…?」
軍とは直接繋がってはいないはずだと思った彼の頭に、以前聞いた話がふと過った。

「…あの、私!」


電話を受け取った向こう側…。
受話器を握って、はっとする結蓮。

「…無事なの…?今どこにいるの?」
『…その……ん?え?』
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