十二章


「…ほら、あんたが見た…A棟の…。」
言いながら、持っていた鍵を差し出してくる男が、やけにすんなり吐き始めたことに、違和感を覚える。
だが、あまり時間がない。男の話が本当なのであれば…。

「…でも、もう…手遅れかもね…。」
歩き出したクールの背中に、男はまた言葉をかけ始めた。
「…同じのを、入れてあるからさ…。」
「…っ!」
その言葉が何を意味するのか、推測するのは簡単だ。
ただそうは言っても…認めたくない気持ちでいっぱいになる。
「…どういうことだ。」
「だから…同じ薬入れたんだって…。」

…既に他の二人が出口を探しに出て行った中で、彼らだけがこのホールに残っていた。
そしてそこに、段ボールの貼られていなかったガラスを割るという荒い手段だが、軍隊が数人、入ってきた。

「…貴様!」
「そこまでの量じゃぁないよ…。俺は…大量に、入れちまった…だから、こうなったけど…。」
「何のために入れた!」
「そりゃぁ…最初は…これが終わったら…実験にでも、使おうと思って…でも……俺だって、勝てる自信は無かったし…自分に、入れてみよ…って、思ってさ…。」
「…。」
後ろから来た軍隊が声をかける。
「…おい!人質の子は見つかったのか?」

拳を握りしめていたクールは、後ろを振り返って…。
「……今探しに行くんだ!」


――――― 謎の部屋


閉じ込められている当の彼女は…わけもわからず過去のことを思い出して涙をボロボロ流しながら、へたっている。
それもそのはず…薬の効果が出ていたからだ。

…自分はみんなみたいになれないのかもしれない…。
頑張っても頑張っても、もう成績も戻らない…でも頑張るのを止めたら、また怒られるのかな…。
学校に行きたくないって言ったら…怒られる…絶対に怒られる。

20:00 ... 19:59 ... 19:58 ...

…こんなことを考えているのは自分がダメだから…?それとも…。
そんなことばかり思い起こしていたとき。

重たそうな扉が開いて、見つかった瞬間、駆け寄ってきて屈んだ誰かに、縄ごと抱きしめられた…。
…クールだ。
「…帰ろう。」

...
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