九章
一方。
二人の男たちに銃を突きつけられて連れてこられたタロウは…。
「ここで大人しくしてろよ。」
「っ…!おい!」
廃病院である場所まで連れてこられ、とある病室へと放り込まれる。
その病室には既に、白髪の青年が閉じ込められており、壁にもたれて座っていた。
「お前らは利用価値がある特別な存在なんだ…。生かしといてやるんだからありがたく思えよ。」
「大人しくしてなきゃ、それなりの報復はあるからな。覚悟しろ。」
その病室には鍵を掛けられ…。外には一人、見張りをつけられている。
その見張りはなんと。
「……すまねぇ……すまねぇ……。」
「…!お前は!まさか…。」
タロウが幾度か話したことのある、とある浪人だった。
誰もいなくなった廊下から、扉を挟んで彼の声が届く。
「……俺…ここから出られなくなっちまったんだ…。」
「…ここに、住んでるのか…。」
必死に訴えかける浪人の声に、後ろにいた青年…灰児もなにやらタロウの方を見つめていた。
「……帰るところ、無くなって…倒れそうだった…でもここなら、住んでいいって…。」
「あいつらが…住む場所をくれたのか?」
「…だから俺は…あいつらの命令、聞かなきゃ…。」
少しの沈黙のあと、タロウの後ろから見ていた灰児が口を挟んだ。
「…くだらねぇな…今になってそんな三流悲劇見せられてんのかよ。」
ため息交じりの沈黙破りに驚いたタロウが、慌てて振り返る。
「…お前も、出たいだろう?」
「そんなの決まってる…。俺だって。出たいも何も。あいつらに、自分の体、またいじられるのかと思うとね…。今から反吐が出そうなんだよ。」
ゆっくりと立ち上がって、不思議そうに黙るタロウのもとに歩み寄った。
扉の前まで来て、タロウの横に座る。
「おい、そこの。鍵は持ってっか?」
「…お前、何言って…。」
「俺たちはな、今はこうやって閉じ込められてっけど、人間一人なぎ倒すぐらい、余裕だ。」
タロウの方を見て、「そうだろ?」と聞いて来る彼に、タロウも自分のような見た目で首を横に振れるわけもなく…。
「あんたはまぁ~、普通の人間ってところか…。じゃあ、あんたがここを開けてくれりゃ、なんかあっても俺たちが対応しよう。それでいいな。」
