八章


「……仕方ないな。」
しばし黙り込んでいたタロウがようやく口を開く。
「…行くの?」
「…気になるんだ…。アンタは…?」
「…じゃあ、行く…。」
結局、二人とも。黒猫の行く先が気になって、そのあとをついていくことにしたのだった…。

しばらく何もない通路をただまっすぐ進むと、突き当たって、道が二つに別れている。それを右に進んで、黒猫の行く通りに、ずっとまっすぐ歩いた。
その中で、二人は特に話すことも、話そうと思うこともなく、ただ無言だった。
…というよりも、少し怖かったのだ。

ようやく道が開けたと思うと。
そこは…噂の場所で間違いない。廃れた地下鉄駅の中だった…。
「…終わったら、すぐ帰ろうな…。」
小声でそう言うタロウに、ミミドリは頷く。
しかし、駅の中に来た途端、黒猫は足を速めていた。あっという間に、もう今となっては使われていない改札の中へと、滑るように入っていく。
「…行く?」
「…い、行くか…。」
恐怖を感じながらも、小走りで追いかける二人。使われていないその改札を越えて、駅構内へと入り込んだ。

…だが、黒猫があまりに速足で、二人は既にその姿を見失っていた。
どこに行ったのかと見まわし、しばし途方に暮れていると。

…ぁ~ん。ぁ~ん。

少し遠くから、何度もまた訴えるように鳴く声が聞こえた。
しかもそれは、よく聞くと、黒猫のものだけではない。
「…仔猫か?」
「…いや…それにしては…。」
鳴き声からすると、どう考えても大人の猫だ。
とにかく、声のする方へと、二人は歩みを進める。

すると、なんと、声の発生源は、ただそこをまっすぐ進んだだけの、反対の改札側だったのだ。
声は、どうやらそこにあった小部屋からするらしい。係員専用の扉からしか入れないが、その扉は既に少し開いている。
恐る恐る…その中に入ると。
「「!!」」
そこにあったのは…。あの白い猫が入った、ケージだった…。黒猫は、このケージを開けて欲しくて、訴えていたのだ。
それにしても…一体誰が?何のために…?そう疑問が浮かび、しばし途方に暮れる二人。


しかし、その静寂はすぐに破られた。
誰かがそこに入ってくる。
「!?」
「…!?」
「…そこを動くな。」

そこには、二人に銃を向ける男二人の姿があったのだ…。

...
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