八章
…にゃ~ん!
「…あれ?ニャンコ?」
「…?こないだの、黒か。」
黒猫が二人に鳴き声を発すると、二人も気付いたようだ。手を差し出すタロウに、彼女にしたのと同じように頭を押しつけた。
「お前、こんなところで会うなんて…。」
タロウも奇遇だと思ったのだろう、黒猫にそんな言葉をかけながら、そっと頭を撫でる。しかし、そうもたもたしていられない二人は、
「…そろそろ、行った方がいいな。」
「…またな。」
…そう言って、黒猫の元を離れていくのだった。
――――― 一方
「その黒猫は?」
「あの…声かけられたときに見失っちゃって…。」
「う~ん、そうか~。」
助けてくれた人物…リタと、ミミドリの会話。その中で、興味深い、それでいて奇妙な話が露出した。
「でもさ、その行こうとしてた方向…アンタ知らないと思うけど、あの辺ここより治安悪いから。行かない方がいいよ。」
「…。」
「あの向こうに、地下鉄の駅に直通で行ける通路があってさ。もうその駅は廃駅なんだけど、そこがもう…裏で密売所みたいなのができてたり、たまに変な集団のたまり場みたいになったりするときもあるって。」
…そんな場所に、あの黒猫が…?
浮かび上がるのは、誘導されているかもしれないという恐怖…。ついて行かない方がいいことは確かだった。
そして、そのリタの口から出た、廃駅という言葉…。
彼女は以前、地下鉄の駅があると聞いたことがある。その建物の前を通り過ぎたことがある。
それを最初に教え、自分とその建物の前の道を通ったのは…今では敵の疑いがかかっている人物なのだ。
彼女の記憶が呼び覚まされ、黙り込んでいたところに…。
「…あ、こんにちは!ほら、お迎えよ。」
「…さっき、ここに…。」
結蘭とタロウに迎えにこられ、もと来た薄暗い廃アーケードの道を歩いているとき。
結蘭が口を開く。それに応じてタロウも。
「あの黒が、ここにいた。」
「あ…いたんだ…。」
彼女は少しゾッとしつつ、会話をしながら例の曲がり道に着く。
…にゃ~ん!
