七章
これ以上進んだら危険な気がするが、この黒猫が自分を呼ぶ理由が気になって仕方がないのだ。それに、最近はめっきり白い方の姿も見ていないので、もしかしたら何かあったのかもしれないとも思っていた。
ただ…確か以前もこんな風に猫を追いかけて迷子になったところを攫われたのだ…。
なんとなくそんなことを思いながら、少し後ろを振り返って、もと入ってきた方に明るい道があるのを見る。
どうするべきか迷っていると。
……ぅわーん…。
はやくしろと言わんばかりに、また、黒猫が鳴く。
結局、悩みに悩んで、彼女はもう一度振り返り、ゆっくりと、黒猫の方へ歩を進めた…。
そうこうしているうち、薄暗い路地から、寂れた道路のある明るい道へと出た。その道の両脇には古い建物が並んでおり、ところどころ廃墟になっているのが見える。
その道を進んで幾度か曲った先、立てられたあみのフェンスの下の方から、はみ出るほどに生い茂る植物が目立つ場所。道路は行き止まりになっており、道路脇の植物が目立つあみのフェンスの先は、おそらく手入れのされていない空地であろう…。
そのフェンスで囲われた売地の奥にある建物…。黒猫は、どうやらその中へと呼んでいるようだ。
平屋の大きな建物で、古びているが、かなり広い面積のある建物である。行き止まりの道路の右に面した入り口から入ることができた。
扉のないその入り口から中を見て、そこはアーケードだったものだと気付く。天井に配管が張り巡らされ、所々壁についている証明も、ついているものがまばらなそこは、既にラクガキのされたシャッターだらけの、いわばゴーストアーケードと化していた。
静かに、薄暗いその建物の中に入って、黒猫についていく。歩いている間にも黒猫は時々振り返ってこちらを確認していた。
…遠くに行かないって決めたばっかりだったのに…。
そう思いながらついていくと。
深部の…シャッターだらけの壁に男たちが寄りかかったり、地面に座ったりしている場所に、辿り着いた。
「……なんだお前?」
「…っ…。」
…しまった。声をかけられてしまった…。どう対応したらいいのかわからないくせに、だいたいこうなったら大変なことになるということだけはわかっている。そしてそういう自分にもまた腹が立つ…。
黒猫は…見失ったと思ったのだが、その男たちの間を走り抜けて、道の先で自分を待っているのが見えた…。
「この辺のじゃねぇなぁ。」
「ここ通りたきゃ金払いな。」
…ここから先は進めそうにない…と思ったところで、引き返そうとするが、
「…逃げる気か?」
後ろの道を塞がれてしまった。
「まさか人のテリトリーに勝手に入っておいて逃げる気じゃねぇだろうな?」
「……。」
…やばい…。一体どうしたら…。
一人で遠くへは行ってはいけないとあれほど…。こうなるからそう言われていたのに…。
自責の念と焦り、恐怖…色々なものが混ざってパニックを起こした、そのとき。
「ちょっと!アンタたち、何やってんの!」
…別な男の人の声が聞こえた。
