六章
翌朝。クールが出ていく前。
二人でベッドに座っていたときのこと。
「もうちょっとしたら行くの?」
「…うん。」
ミミドリが溢した質問。
「…どのぐらいで行く?」
「あの時計が10時になったら。」
また何か考えているような質問だったことはわかるのだが、彼はあえて素直に答えた。
…あと20分ほど。
「…なんで聞いた?」
しばらくして彼が聞きかえす。
「……。」
なんと答えたらいいか、彼女にはわからず、唸り、黙った。
昨日…あんな風になったということは、彼が何かまた狙われているということだろう。そして、ここから彼はまた、昨日のような…平和とは程遠いところに行くのだ。
そうしたら、もうしばらく、会えないような気がする…。
それはまだ予感の段階でしかなくても。
……帰ってこなかったらどうしよう?
だがその気持ちを素直に言い出したところで。彼は行かなければならない。
そして、彼もそう言うのかも知れない…。
あと16、7分。
彼女がなかなか口を開かずに俯いて考え込んでいると。
…じゃあ質問を変えよう、と彼が言う。
「なんで俺がギリギリまでいると思う?」
この質問で気づきつつも、やはり彼女は言葉を詰まらせ、口を開くことができない。
…こういうとき、一体何を言えばいいのか。
「……寂しい。」
彼が心配で、自分も寂しくて、泣きそうな今の彼女には、それしか言葉が出せなかった。
それでも、次の瞬間には、その言葉を聞いた彼にそっと抱きしめられている。
「…10分だけな。」
静かに泣き出した彼女の背中を小さく叩きながら、彼も残りの時間を過ごした…。
...
