一章
しかし、退院後しばらくして、一度、危ないから近づくなとクールに突き放され、離ればなれになった彼女が、それからそう経たないうちに、裏社会のボスともいえる人物・カルロスに目をつけられていなくなってしまう。
その時は、兄妹の二人とも、もう生きて帰ってこないかもしれないと、諦めかけた。
だがクール達が偶然にもそこへ向かっていたおかげで、彼女は奇跡的に彼らに助けられる。ハリー率いる軍の到着により安全確保がなったのも相まって、二人は、特に大きな怪我もすることなく帰ってくることができた。
きっと何かがあの二人を引き合わせたのかもしれないと、双子も今はそう思っている。
…特に兄の方は。
それからというもの、その二人は、離れずにいることを決めた。
そして今日。
この場所に来てから半年が経つ彼女は、自分たちと同じように、下にあるバーに降りてくる。
階段を降り、廊下をゆっくり進む彼女の目の前に、扉が現れる。
その扉の先のカーテンをくぐると。
ステージから、こちらに気付いて、おいでおいでのジェスチャーをする結蘭の姿。
…いよいよだ。
これは、あの事件のその後数ヶ月を描いた物語。
―――――3ヶ月前―――――
帰ってきて数日、あまり外に出ないようにしていたミミドリが、退屈せずにいられた要因は、大好きなレトロゲームだった。
その日も、かれこれずっと、同じゲームで過去の自分と勝負し続けていた。
扉を開けて入ってくる結蓮は、部屋にこもっている彼女を見ながらもどこか安心したような雰囲気だ。
「ずっとやってるの?」
「…うん。」
そんな彼女の姿を見ていた結蓮は、年に見合わない趣味とセンスを持った彼女にきっといい個性がある、と感じると共に、あることをひらめく。
その一週間後。
表にはミミドリとの付き合いがあることを出さないクールだったが、
「…よ。」
ガヤついた双子のバーの中で、結蘭が声をかけた。
「どう?」
「…どうって…普通。」
半ば渋々答える彼に、
「あいつもたぶん、そろそろ寂しがってるよ…。あのあとから会ってないんだろ?」
彼女のことを話に出す。
「あいつもヒマそうだし…。いつ来るか決まってるなら言っておくから…会いに行ってやりなよ。」
ここから、新たな進展と事件が、また始まる…。
