五章

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数日後。タロウとミミドリが、よく猫の集会のある開けた場所から、少しだけ離れた路地を歩いていた。
「この子たち、恋人同士なんだよね…。」
あの白い猫と黒い猫。二人に気付くと、一緒に走ってきて、白い方がにゃーと声を上げる。
「…この白い方は、いつもオレのところに来る子だな。」
白い猫は、屈んだタロウの肩に乗ってご満悦な様子だった。
対する、少し白い方より大きい黒い猫は、まだ警戒心が強いのか、撫でようとすると少し後ずさる。
「こないだ会ったことあるでしょ?忘れちゃった?」
ミミドリが屈んで黒い猫に手を近づけると、そっと以前のように手のにおいを嗅いだ。

そうしてのんびりしていた二人のもとへ、
「…あれ?」
「…あ…。」
やってきたのは、あのゲーセンにいた眼鏡の男だった…。
彼女が、見たことはあれどまだ話したことが無かった彼に対する挨拶に迷っていると。
「…偶然だね…。その…。」
向こうもなんだか迷っている様子で、とても怪しそうには見えない。
「…よろしくお願いします…。いろいろと…。」
「あぁ、うん…。」
タロウに目が行ったらしい彼にすかさず、「友達です。」と言って流した。
タロウが何かと嫌われがちだと言われていたことを気にしていたが、男がしばし考えた後「…優しいの?」と聞いたので、彼女も少し安堵する。
「優しいですよ。」
言いながら頷きつつも、タロウが静かだったのが気になった。きっと嫌われるのが怖かったんだろうと思い、あまりそのことは口には出さなかったが…。


「…ホントに良かった?」
「いや、全然!」
その後。ミミドリはタロウと別れ、例のゲーセンへと向かうことになった。
「一人でいたら、カツアゲだのなんだの鬱陶しい場所かもしれないけど、もうみんな顔見知りだし、俺たちもなんかあったら止めに行くから、心配しないで。」
「ありがとうございます…。」
過激な者達が多いのを想像し、ランキングが埋まっていたことを咎められるのかと思っていたが、どうやらそうではないらしい…。
とはいえ、彼女がまだ恐れていることもまた事実だ。

二人は歩きながら話をし始めた。
「…こないだのシルバー、あれ…どうやって出した?」
「あ~…あれ…。」
…なんだか仕様を喋ったら怒られるような…笑われるような…そんな気がする…。
「一曲目のキャラ選でコマンド入れるとああなるんです…。」
「確か新しいのにはコマンド入れなくてもあるって聞いたことあるけど…。」
「あれは期間限定の大会モードってやつですね。」
「へぇ~…。あんまりやったことないからよくわからなくて…。」
「こないだやってたのは、通常の点数の1.5倍で普通にランキングに入るやつなので…。」
「あ、だからランキング埋まってたのね…。」
「は、はい…。」
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