四章


二人が引き止められてから一時間後。
通り雨は止んですっかり晴れ、うっすらオレンジに染まって夕焼けを見せている空の下、二人が手を繋いで重たい扉を押して出てくる。
「…助かった。」
そう言って笑う彼に、彼女はいつものごとく恥ずかしそうに頷いた。

しばらくして…。
ゲーセンの中、扉の前で、何やらこそこそと話をしている数人の男たち。
一人が口の前に、しぃ、と指を立てて、扉をゆっくりと開けると、少し遠くを歩く二人の姿を確認する。

クールは少し周囲を見るような動きをしたあと、
「どうしたの…?」と聞く彼女に「…なんでもない。」とだけ答え、また彼女を抱き上げた。
…ヘッタクソな尾行しやがって。
そう思いながら。


建物の影から、二人の姿を見送る男たち。
…もちろん、彼が気づいていることに、こちらも気づいていない。
「…もしかして…純愛?」
「あんなの絶対噂と違うよな…。」
「だから、演技じゃないの?」
「いや、噂じゃそういうタチでもないんだよ…。」
こそこそと男たちが小声で話をしている中。
「…でも…。ほら、手首じゃなくて…。」
「…ちゃんと手繋いでた…。」

一人だけ…眼鏡の男だけが、しばらく建物の陰からその二人を、なにやら考えているような表情で、見つめていた。
「戻るぞ~。」と声をかけられて、後ろに振り返ったその男はすぐに笑い、「わかったわかった。」と返す。
しかし、扉に入ろうとする男たちに、「…ごめん、ちょっと休憩してから行くわ。」と声をかけ、一人、外にいるまま扉を閉じた。


扉を閉めた眼鏡の男は、静かな外の周囲を確認すると、さっと速足で、二人が行った繁華街とは反対の方向へ向かう。
その先の、建物と建物の間の狭く暗い路地の中へ、眼鏡を外しながら入っていった。
その路地の中には…。
「…間違いない。」
扉を見つめていた男たち二人がいた…。
「いいところに来てるじゃんか。今回の…。」
「…問題は、どうやって手を出すかよな。」
入ってきた男は、「作戦は速いうちに…。」と言いかけて、こう言い直す。

「…まず、相方の方を捕まえろ。」

...
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