四章


一週間後。二人は今日、少し早い時間から重たい扉を開けていた。
「…?」
入ってすぐの右手にある階段が地下と二階へと繋がっており、地下には"音ゲー"ソーンがあるらしい。
「降りてみるか…。」

その二人に気付いた一階奥の男たちが、二人が地下に行くのを見るや否や、そっとその階段の前に集まる。

そこそこな広さのある地下の部屋…。そこが意外にもレアな…そして彼女のよく遊んでいた作品の聖地的場所であったことがわかる。
リズムゲーム系列のエリアに来ると、以前の思い出が蘇ってきたような気がした。
…が、やっているだけで注目を浴びてしまうのは、少し視線が痛いような気もしなくもない。
後からそっと降りてきた集団が、彼女が四色ボタンを叩いているのを遠くから見ていた…。

「…どったの?」
「…色、全部銀じゃね?」

よく見ると。しばらく座りっぱなしでやっている彼女の前の画面に映っているのは、通常の譜面とは全く別のもの。通常であれば4色あるはずのオブジェクトの色が、全て銀で統一されている。
「なんだあれ…。」
「もしかしてシルバーモード?」
色と一緒にボタンの位置を示すはずだったオブジェクトの白い点も、全てオブジェクトの中央に統一されていた。
つまり、それは、いわば、記憶試し…。
「…あ、そういうプレイ?」
「なんでそれで9割安定なの…?」
「…知らん。」

それから2時間くらいが経ったあと。
「…雨だな。」
二人が外へ出ようとすると、運悪く、外は通り雨に直撃されていた。
「走る?」
しかし、そう言いかけたところで、後ろの不良から引き止めの声がかけられる。
なにか悪いことでもしたのかと身構える二人だったが、そういうことではなかった…。

「もう一回見せてくれ…!」



一方。その数十分後。
繁華街がある方とは逆方向の道。建物の陰から、あの扉がある辺りを見つめる男がいた。
そしてその男の後ろから、建物の壁に背中をもたれて気怠そうに話しかける、男がもう一人。
「…ホントにいるの?ゲーセンだぜ?」
「あの人がそう言ってたんだよ…。出てくるまで待ってろ。」
雨の止んだ夕方の暗がりに、怪しい影が二つ浮かび上がる。
4/5ページ
スキ