一章
1...
夕焼けと夜の間の時間…夏のはじめの夜6時。
鏡の前で準備を終えた結蓮(ユイレン)が、扉を出ると右に廊下が伸びており、壁には奥に扉が更に二つ。
手前のドアの前には、髪の短く、結蓮と似た、妹の結蘭(ユイラン)が立っていた。
「じゃあ、先に下に降りててね。」
「…大丈夫かなぁ…。」
結蓮も結蘭も、奥のもう一つのドアを見つめながらこう会話する。
「まぁ、大丈夫じゃない?私、ちょっと様子見てから下に行くわ。」
「わかった…。」
結蘭はそう言って、ゆっくり一階への階段を降り始める。
結蓮はしばしそれを見届けたあと、廊下左手の、三つ目の扉へと向かった。
「入るよ?」
扉の向こうの部屋には、長めの髪を一つに縛って緑色のパーカーを着た、青いフチの眼鏡をした女の子が座っていた。
手には、折り畳み式の…携帯ゲーム機。
「あ、は~い…。」
少しいじってからそれをベッドに置き、向き直る。
「あぁ、まだ時間じゃないから大丈夫だよ。」
「…でもそろそろ準備する時間でしょ?」
「う~ん、今日は前に出るのも初だし、あんまり力入れすぎなくてもいいんじゃない?」
そわそわした様子の彼女をなだめながら、横に座った。
「…緊張してる?」
「…うん」
「そうだよね」
そう会話して二人で少し笑ったあと、ポーズ状態の携帯機の画面をのぞき込みながら一呼吸おいて、
「練習はどう?」
「まぁまぁかな~。」
「そっか…。私は下で待ってるから、時間になったら降りてきてね!」
そう言って立ち上がり、扉の方へ歩き出す。
「うん、わかった。」
そう言う彼女の少し緊張した顔を見ながら、扉を閉める前に手を振って、廊下を歩いた。
彼女……ミミドリが来たのは、今から半年前。
腹部を撃たれ血を流して倒れていたのを、黒い翼であるクールに連れてこられた。
普段、他人の生死なんて気にもしないような人間だったのに、いなくなった彼女を探していたときの彼は必死だったのを、結蓮もよく覚えている。
見つけられた彼女は、微かな息はあったものの、体が冷えていたので、そのまま目を覚まさないことも考えられたが、倒れてからそう時間が経たないうちに助けられて安全な場所に運ばれていたためか、次第に体温が戻り、2日後に意識を取り戻すのだった。
脇腹をかすめ、おそらくそのショックで意識を失って倒れたのだろう。まさに、撃たれた箇所が良かったというべきだった。そのため、ほとんどどこにも異常はなく、怪我が治ってからというもの、すぐに元気になっていった。
結蓮・結蘭の双子兄妹は、居場所のなかった彼女を自分の家族のような存在にしよう…という決断の元、見つかってから2か月後、運ばれていた軍の管理する病院施設を出た彼女を、ここに迎え入れることになった…。
夕焼けと夜の間の時間…夏のはじめの夜6時。
鏡の前で準備を終えた結蓮(ユイレン)が、扉を出ると右に廊下が伸びており、壁には奥に扉が更に二つ。
手前のドアの前には、髪の短く、結蓮と似た、妹の結蘭(ユイラン)が立っていた。
「じゃあ、先に下に降りててね。」
「…大丈夫かなぁ…。」
結蓮も結蘭も、奥のもう一つのドアを見つめながらこう会話する。
「まぁ、大丈夫じゃない?私、ちょっと様子見てから下に行くわ。」
「わかった…。」
結蘭はそう言って、ゆっくり一階への階段を降り始める。
結蓮はしばしそれを見届けたあと、廊下左手の、三つ目の扉へと向かった。
「入るよ?」
扉の向こうの部屋には、長めの髪を一つに縛って緑色のパーカーを着た、青いフチの眼鏡をした女の子が座っていた。
手には、折り畳み式の…携帯ゲーム機。
「あ、は~い…。」
少しいじってからそれをベッドに置き、向き直る。
「あぁ、まだ時間じゃないから大丈夫だよ。」
「…でもそろそろ準備する時間でしょ?」
「う~ん、今日は前に出るのも初だし、あんまり力入れすぎなくてもいいんじゃない?」
そわそわした様子の彼女をなだめながら、横に座った。
「…緊張してる?」
「…うん」
「そうだよね」
そう会話して二人で少し笑ったあと、ポーズ状態の携帯機の画面をのぞき込みながら一呼吸おいて、
「練習はどう?」
「まぁまぁかな~。」
「そっか…。私は下で待ってるから、時間になったら降りてきてね!」
そう言って立ち上がり、扉の方へ歩き出す。
「うん、わかった。」
そう言う彼女の少し緊張した顔を見ながら、扉を閉める前に手を振って、廊下を歩いた。
彼女……ミミドリが来たのは、今から半年前。
腹部を撃たれ血を流して倒れていたのを、黒い翼であるクールに連れてこられた。
普段、他人の生死なんて気にもしないような人間だったのに、いなくなった彼女を探していたときの彼は必死だったのを、結蓮もよく覚えている。
見つけられた彼女は、微かな息はあったものの、体が冷えていたので、そのまま目を覚まさないことも考えられたが、倒れてからそう時間が経たないうちに助けられて安全な場所に運ばれていたためか、次第に体温が戻り、2日後に意識を取り戻すのだった。
脇腹をかすめ、おそらくそのショックで意識を失って倒れたのだろう。まさに、撃たれた箇所が良かったというべきだった。そのため、ほとんどどこにも異常はなく、怪我が治ってからというもの、すぐに元気になっていった。
結蓮・結蘭の双子兄妹は、居場所のなかった彼女を自分の家族のような存在にしよう…という決断の元、見つかってから2か月後、運ばれていた軍の管理する病院施設を出た彼女を、ここに迎え入れることになった…。
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