髪を乾かし終わって部屋に戻ったら、クールがベッドに座って待ってる。
横に座って、置いてたヘアゴムを取ったら、
「たまには下ろして寝たらいいのに。」
…って、言われた。
「えぇ…？」
元々くせ毛だし長くて毛先が傷み気味だから、朝はいつも、曲がったり絡まったりする。今日の朝もそう…だから寝るときは縛って寝る。それでもボサボサにはなるけど。
「…下ろして寝たら朝もっとボサボサになっちゃうかもよ。」
「…いいよ。」
笑いながら返されて、頭撫でられた。
……今は洗って乾かしたばっかりだからサラサラになってるけど、これが寝て起きると、フヤフヤに曲がったり、くっついて絡まったりしてるんだよな……。
朝どうなってるんだろう？って思いながら、結局縛らないで布団に入った。

いつも通り、おいで、って言われて広げられた腕に入るんだけど…ちょっと向こうで薄くついてるスタンドライトの光で、クールの、シャツから出た腕の、大きい線みたいになった傷痕が見えた。
「…これ…。」
「…あぁそれ…？最近できたやつ…。」
気になってたらそう言われたけど、だいぶ治った後とはいえ、けっこう痕がくっきり見えて太めだったから、そこそこの怪我だったんだろうな…って。
「…心配…？」
「…うん。」
もっと見えやすいところにも別の傷があったしね。
心配になったところで、こう言われた。
「…寝てれば治るから。」
…そうだけど…。
「治すのに寝かせろよ。」
…心配なのはそういうことじゃなくて…。
「…あんたといないと寝られないんだから…。」
でもそう言われながら背中をトントンされてたら、なんか、どうでも良くなっちゃった。