二章
2...
クールがミミドリに背を向けて歩いた、あの日。
――――― これでいいんだよ……
これで、また今まで通りだ。死んでも何もなくなったんだ。
……そう思えるはずだったのに。
最後に見たあの涙目は、やっぱりどうしても忘れられなかった。
――――― こんなんじゃ…本当にいつ死ぬかわかんねぇな…
彼にとっては、これまではどうでもよかった世界を、どうでもよくなくした奴だった。
それだけで十分忘れられない要因だというのに、忘れなきゃならない立場だ。
そしてきっと彼女も、辛くて忘れられないだろうと、そう思った。もとはといえば彼女からだったのだから。
そんな気持ちに釘をさすように、一週間と少し経ったくらいだろうか、不思議なことに、彼のもとに以前のカルロスの関係者であるという人物が会って欲しいと声をかけてきた。
彼の名は……壬生灰児といった。カルロスが昔行っていた実験、ケースクラスの、生き残りだという。
――――― 面白そうな奴だな…
待つ場所は、4-Bの、裏路地。
まさか、その先でとんでもないことになろうとは、この時は思わなかったのだ。
彼が、その4-Bの裏路地で灰児を待っていたときのことだった。
突如として、ミミドリと同じくらいの背をした、少年が、目の前に現れる。
その少年は、一目で中身が裏世界のそれだとわかる見た目をしていたので、クールは一瞬にして悪いものを察した。
その少年(彼こそが、ルチオ・ロッシである)は、何も言わず、一気に距離を詰めようとする。
それを先にわかっていたので、少年が飛んでいく方向の裏に回る動きを取って、そのまま、向き直った少年の腹部を蹴り飛ばす。
倒れた少年が起き上がる前に、その腹部を踏んで地に仰向けのまま伏せた。
もうそれで諦めたのか、少年は抵抗するのを止めた。とっさにナイフをその少年の首元に突き付けたクールだったが、なぜか少年を殺せない。
……そして、その少年の顔を見ると、彼が不気味な笑みを浮かべているのがわかってしまった。
「…何を笑ってる?」
自分に対して何かあるのか?と考えを巡らせたところで、
「おい!もしかしてお前が…」
後ろから、そのおそらく灰児であろうという人物がやってくる。
「…!」
「…ちょっと待て、そこのガキ……」
どうやらこの少年とも関係があるようであった…
クールがミミドリに背を向けて歩いた、あの日。
――――― これでいいんだよ……
これで、また今まで通りだ。死んでも何もなくなったんだ。
……そう思えるはずだったのに。
最後に見たあの涙目は、やっぱりどうしても忘れられなかった。
――――― こんなんじゃ…本当にいつ死ぬかわかんねぇな…
彼にとっては、これまではどうでもよかった世界を、どうでもよくなくした奴だった。
それだけで十分忘れられない要因だというのに、忘れなきゃならない立場だ。
そしてきっと彼女も、辛くて忘れられないだろうと、そう思った。もとはといえば彼女からだったのだから。
そんな気持ちに釘をさすように、一週間と少し経ったくらいだろうか、不思議なことに、彼のもとに以前のカルロスの関係者であるという人物が会って欲しいと声をかけてきた。
彼の名は……壬生灰児といった。カルロスが昔行っていた実験、ケースクラスの、生き残りだという。
――――― 面白そうな奴だな…
待つ場所は、4-Bの、裏路地。
まさか、その先でとんでもないことになろうとは、この時は思わなかったのだ。
彼が、その4-Bの裏路地で灰児を待っていたときのことだった。
突如として、ミミドリと同じくらいの背をした、少年が、目の前に現れる。
その少年は、一目で中身が裏世界のそれだとわかる見た目をしていたので、クールは一瞬にして悪いものを察した。
その少年(彼こそが、ルチオ・ロッシである)は、何も言わず、一気に距離を詰めようとする。
それを先にわかっていたので、少年が飛んでいく方向の裏に回る動きを取って、そのまま、向き直った少年の腹部を蹴り飛ばす。
倒れた少年が起き上がる前に、その腹部を踏んで地に仰向けのまま伏せた。
もうそれで諦めたのか、少年は抵抗するのを止めた。とっさにナイフをその少年の首元に突き付けたクールだったが、なぜか少年を殺せない。
……そして、その少年の顔を見ると、彼が不気味な笑みを浮かべているのがわかってしまった。
「…何を笑ってる?」
自分に対して何かあるのか?と考えを巡らせたところで、
「おい!もしかしてお前が…」
後ろから、そのおそらく灰児であろうという人物がやってくる。
「…!」
「…ちょっと待て、そこのガキ……」
どうやらこの少年とも関係があるようであった…
