一章
少し経った日。
とにかく今は、辛くても馴染むしかない。どうせ何かをやってるうちに忘れるだろう。
…そう思う事にした彼女は、もとあった自分の趣味に没頭しようとした。
「実機……!?」
「これね~、たぶん動くと思うから。現役だよ(笑)」
ユイランの部屋には、なんとあの、元居た世界でも目にしたことのある据え置き機が…。
「じゃ、これ、つないでみよっか」
「…マジか……本物!?……」
それを彼女の部屋でつないでみると、ブラウン管にしっかりその画面が映っていた。
「よし、ちゃんと映ったな、でも肝心なのは、ディスクがないことだね~(笑)」
「今度、探しに行ってもいい?」「いいよ。じゃあ一緒について行ってあげるね。」
「ありがとう!」
そういう彼女の目が少しきらきらとしたものを取り戻したのを見て、ユイランも安心していた。
その更に数日後のこと。
また夕方に、遠出しないつもりで、猫の様子が気になって外に出た彼女。
だが、いつもの路地奥に、あの白い猫がいない。
……ニャー。
――――― あれ…?
なんと、後ろを振り向くと、その白猫が、こちらを見て、鳴いていた。屈んで撫でようとすると、その猫は、走ってまた路地の出口の方へ行ってしまう。
その路地を出た通りに出る前に、また立ち止まってこちらに向き直り、ニャーと鳴いた。
――――― ついてこいってこと?
驚かせないようにゆっくり立ち上がって、一歩ずつ進んでいくと、また近くまで来たときに、今度はまるで誘導するように、彼女の前を一定の間隔をあけて歩き始める。
時折振り返ってこちらを確認していることから、やはりついてこいということで間違いないようだった。
そして、彼女は次第に、少し離れた場所の路地の中へと、導かれた。
なんだか危ない予感のした彼女だったが、立ち止まると、
……ニャー。
――――― …やっぱりか。
こちらを振り向いて止まったまま、自分を待っている白い猫に、どうしてもついて行ってしまう自分がいた。
その少し薄暗い路地を奥まで進んだところに、不思議なものを見た。
ゆっくり歩いて、曲がり角を何度も曲がってきたあとの、その最後の曲がり角の先には、ついていった白猫…よりも、少し大きな、黒猫がいた。
――――― ……あぁ、そういうことだったのか。
その黒猫と白猫は、お互いの鼻を突き合わせて、隣に並んだ。お互いにしっぽを合わせている。
そうだ。きっとこの猫たちは……。
――――― 紹介しに連れてきたのかな…。
でもどうして自分なんかに?と思う。よほどの信頼があったのだろうか。また少し不思議に思いながらも、ゆっくり屈んで、その二匹を眺めた。
白猫よりも警戒心が強そうな黒猫は、始めはこちらに恐る恐る近寄ってくる形だったが、ゆっくり手を差し伸べると、その手のにおいをかいで、少し触らせてくれるようになる。
なんだか、二匹ともこちらを眺める姿を見て、以前のことを再び考えかけてしまう。
考え込んでいるうちに、また少し時間が経っていることに気付く。
「…ごめんね。もうそろそろ行かなくちゃいけないの。」
目の前の二匹を驚かせないよう、彼女はまたゆっくり立ち上がって、
「二人とも、幸せになってね。」
そう声をかけ、もう一度撫でてから、その場を去った。
――――― あれ……ここ……どこだっけ……
元居た世界なら、マップがある。だけど、今は自力でこの迷路のような裏路地を出なければならないことに、一気に不安が増した。
自分がどこをどうやって来たかも、ろくに覚えていないような気がする。
……ヤバい。こうなってしまったら確実にヤバいのだ……。
そう焦りながら、少しずつ前に前にと進んでいたときである。
自分の進行方向の道を、自分と同じくらいの背の少年が、塞いでいた。
......
とにかく今は、辛くても馴染むしかない。どうせ何かをやってるうちに忘れるだろう。
…そう思う事にした彼女は、もとあった自分の趣味に没頭しようとした。
「実機……!?」
「これね~、たぶん動くと思うから。現役だよ(笑)」
ユイランの部屋には、なんとあの、元居た世界でも目にしたことのある据え置き機が…。
「じゃ、これ、つないでみよっか」
「…マジか……本物!?……」
それを彼女の部屋でつないでみると、ブラウン管にしっかりその画面が映っていた。
「よし、ちゃんと映ったな、でも肝心なのは、ディスクがないことだね~(笑)」
「今度、探しに行ってもいい?」「いいよ。じゃあ一緒について行ってあげるね。」
「ありがとう!」
そういう彼女の目が少しきらきらとしたものを取り戻したのを見て、ユイランも安心していた。
その更に数日後のこと。
また夕方に、遠出しないつもりで、猫の様子が気になって外に出た彼女。
だが、いつもの路地奥に、あの白い猫がいない。
……ニャー。
――――― あれ…?
なんと、後ろを振り向くと、その白猫が、こちらを見て、鳴いていた。屈んで撫でようとすると、その猫は、走ってまた路地の出口の方へ行ってしまう。
その路地を出た通りに出る前に、また立ち止まってこちらに向き直り、ニャーと鳴いた。
――――― ついてこいってこと?
驚かせないようにゆっくり立ち上がって、一歩ずつ進んでいくと、また近くまで来たときに、今度はまるで誘導するように、彼女の前を一定の間隔をあけて歩き始める。
時折振り返ってこちらを確認していることから、やはりついてこいということで間違いないようだった。
そして、彼女は次第に、少し離れた場所の路地の中へと、導かれた。
なんだか危ない予感のした彼女だったが、立ち止まると、
……ニャー。
――――― …やっぱりか。
こちらを振り向いて止まったまま、自分を待っている白い猫に、どうしてもついて行ってしまう自分がいた。
その少し薄暗い路地を奥まで進んだところに、不思議なものを見た。
ゆっくり歩いて、曲がり角を何度も曲がってきたあとの、その最後の曲がり角の先には、ついていった白猫…よりも、少し大きな、黒猫がいた。
――――― ……あぁ、そういうことだったのか。
その黒猫と白猫は、お互いの鼻を突き合わせて、隣に並んだ。お互いにしっぽを合わせている。
そうだ。きっとこの猫たちは……。
――――― 紹介しに連れてきたのかな…。
でもどうして自分なんかに?と思う。よほどの信頼があったのだろうか。また少し不思議に思いながらも、ゆっくり屈んで、その二匹を眺めた。
白猫よりも警戒心が強そうな黒猫は、始めはこちらに恐る恐る近寄ってくる形だったが、ゆっくり手を差し伸べると、その手のにおいをかいで、少し触らせてくれるようになる。
なんだか、二匹ともこちらを眺める姿を見て、以前のことを再び考えかけてしまう。
考え込んでいるうちに、また少し時間が経っていることに気付く。
「…ごめんね。もうそろそろ行かなくちゃいけないの。」
目の前の二匹を驚かせないよう、彼女はまたゆっくり立ち上がって、
「二人とも、幸せになってね。」
そう声をかけ、もう一度撫でてから、その場を去った。
――――― あれ……ここ……どこだっけ……
元居た世界なら、マップがある。だけど、今は自力でこの迷路のような裏路地を出なければならないことに、一気に不安が増した。
自分がどこをどうやって来たかも、ろくに覚えていないような気がする。
……ヤバい。こうなってしまったら確実にヤバいのだ……。
そう焦りながら、少しずつ前に前にと進んでいたときである。
自分の進行方向の道を、自分と同じくらいの背の少年が、塞いでいた。
......
