最終章

6...

――――――――翌朝

―――――  ……あったかい?

ふと、気が付くと、寝ている自分を誰かが抱いていて、布団でくるまれている。
意識がはっきりとしたところで、まだ眠気があったものの、目を開け、うずめていた頭を上げると。
それは、クールだった。

状況が理解できず顔を上げてきょとんとした彼女を見て、思わず笑うクール。
途端に恥ずかしくなって俯いた彼女の頭を寄せて、また最初のように自分の首にうずめると、笑いながら「おはよう。」と言った。

昨日のことが幻のように感じながらも、まだ残っている体の重たさを実感すると共に、連れ出されたときにどうなったのかが全く思い出せないミミドリだった。
それもそのはず…。
「…連れてきたときには力尽きてたから、そのまま一緒に寝てた。」
そう言われて、ようやく今の状況を理解する。

そして、しばらく考えたあとに、目が覚めて初めて、声を出した。
「……ぁ…あのさ。」
…どうしても言いたいことを言うために。
まだ怠い体に力を入れて声を出したので、最初は思ったようには声が出ず、かすれた。
また少し顔を上げた彼女を見て、真剣な話をすることを察したクールも、「…うん?」と言った。
「…あの時に言われたこと、すごい、わかった…危ないって……」
たどたどしくなったが、それでも彼には、あの自分が言った言葉だとすぐにわかる。
「…心配してくれてたんだよね……?」という彼女に、クールは「…そうだな。」とだけ返した。

次の言葉を考えた彼女は、少し泣きそうになり、
「いたら、邪魔じゃない……?」
それだけ言って、言葉を詰まらせた。

クールはミミドリのその顔を見て、考えながらまた彼女の額をうずめた。
「…俺は離れた方がいいって言いたいのか。」
それから、
「あの時はあんなこと言ったけど…ホントは辛かったんだよ。」
辛くなって泣き出す彼女の背中を撫でながら、自分の考えていたことを話そうと決めた。
「同じところに行かせるわけにはいかないと思ったから……それだけだよ……でも、置いて逃げられるわけねぇだろ。」
落ち着いているので一見彼らしい回答のように思えたが、答えたことはそれまでとは全く違うようなことだった。
「目の前で殺されると思ったら、怖かった……それに、俺が行かなかったらどうなってたか……」

その答えを聞いて、彼女も、彼が本当に前とは少し違っているんだとわかった。
それでも、不安だった。彼には救われてばかりだったから。
二度も、死ぬかもしれないところから救われているのに、自分は何もできないと思った。

「やっぱりあんなこと言って間違いだったと思う……」
だが、クールは続けてこう言った。
「横にいろよ……もう同じ所には来なくていいようにするから…」

離れたくないのは、彼女も同じだった。
「……うん…」

そして、クールは、泣きながら頷いたミミドリを抱きしめてから「あんなこと言って悪かった」と言った。

しばらくして、少し息の落ち着いた彼女に「…まだ怠い?」と聞くと。
少し間を置いて、急にくすっと笑ったから、何かと思えば。
「……なんか、おなか空いた…」

その答えでまた笑ってしまった自分がいることに少し不思議に思いながらも、クールはあの時のようにミミドリの頭を撫でた。
「…今、呼んでくるから。待ってな。」

......
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