四章

4...

冷たい場所で縛られ、監禁されているミミドリ。
男が去ってからは、ただこの先への恐怖があるだけの、空白の時間を、過ごし続けた。
閉じ込められているその場所は、長袖のパーカーを着ているのに、寒さで少し震えるほどである。
自分が体調を崩しているだけなのだろうかと、そう疑ってもいいくらいには、寒かった。
今すぐにでも縮こまりたい。でも、両手は後ろで縛られたままだ。

彼女は、このいつまで続くかわからないような静かな時間をたった一人で過ごすことだけに、集中していた。
この先どうなるのかなんて考えても、それはわかり切ったようなものだったから。

だが、そう長く経たないうちに、その時間は終わりを迎えることとなった。
おそらく扉の向こうからだろう、何やら少し話しているような声が聞こえてきた。何を話しているのかまでは、さすがに聞き取れない。
そして、扉が開き誰かが入ってきた。きっとまたさっきの男だ、もう終わったんだ、と思っていると、なぜかその縛りを解かれた。

―――――  どっかに連れて行かれる……?

視界を阻む布も解かれ、怖かったがゆっくりと瞼を開けてみる。
力がかかっていたせいで、目を開けてすぐの景色は少しぼやぼやとしたものだったが、暗い、どこか倉庫のような場所だった。
視界の左の方に見える、開いた扉の方から、誰かが歩いてくるのがわかる。

「……!」

その前から歩いてきたのは……「大男」と呼ぶのがぴったりの男だった。
そう言えば、かつての家族だった、母親の再婚相手の父親も、このくらい背が高かった……という、どうでもいいことを思い出したが、歩いてきたその人は、自分の思い出す父親とは、あまりにも体格が違い過ぎる。

そして、その男には心当たりがあった。まだぼやぼやとした視界で見た景色だけでは、とても物事を断定するには無理があったのだが、それでも、その人物はもう誰なのか、予想がついた。
彼は、ミミドリの目の前まで歩いてくると、顔を見ず俯いている彼女に、こう言った。
「死にたくなければ、ついてきてもらうよ?」


間違いない。この大男は。この声は。
…カルロスだ。
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