大好き。
前日まで、数日ほど睡眠時間を削りがちだったミミドリは、眠いながら、髪を乾かしていた。
一週間ぶりに一緒に寝られる日が来たので、ようやく早い時間からの睡眠を取ることにしたのである。
階段を降りて様子を見に行ったクールの前に、ちょうど終わったばかりの彼女が出てくる。
彼が両腕を差し伸べると、一度戸惑ったあとで、ぴったりくっついた。
「ん…でも、ちょっと違う。」
広げていた腕で包みながらこう言う彼に、きょとんとした彼女だったが、彼の腕が胴を巻いたので、すぐに腕を上げて彼の首元に掴まる。
「…そ。」
彼はそう言いながら、眠そうな彼女をひょいと抱き上げて階段を登った。
「あら、そんなに眠いの?いいわね。おやすみ。」
声をかけたユイレンに、彼が少し立ち止まり、抱えられたままの彼女が「おやすみ。」と返事をして、その二人は部屋に入っていった。
布団に入ったとき、
「…私って、恵まれてるんだよね…。」
と呟いたミミドリに、少し不思議に思って聞き返すクール。
「…俺と一緒にいるのが?」
「…それもそうだけど…なんていうか…その…。」
「……まぁ、わかるよ。」
言葉に迷っている彼女がさっき眠そうにしていたのを思い出しながら、彼は言葉を返した。
「普通は、俺みたいなのと一緒にはいられないからね…。捕まったらきっとただじゃ済まないよ。」
「…うん…。」
「…もう難しいこと考えんのは起きてからにしな…。喋れないだろ。」
「…。」
彼女には、眠気もさることながら、いつもの緊張と、伝え方に迷う気持ちがあったのだが、今、それもうまく表に出すことができなかった。
いつものように、腕にくるまれ額をくっつけると、一度は、このまま眠ってしまおうと思いかける。
しかし、今考えていることを起きたあとで覚えているだろうかと思うと、今言わないと気が済まなかったので、なんとか思考を巡らせて、
「…あのね。」
再び声を発した。
伝え方がよくわからず、最終的に伝えたいことだけをまとめて紡がれた、短くて簡単な言葉。
「……ありがとう。」
「…ん?」
「…一緒にいてくれて。」
「…うん。」
…ちゃんと伝わってないかもしれない。
それでも。言いたいことを、少しの勇気を振り絞って言えたので、伝わっていることを…そして、起きたあともお互い忘れていないことを祈って、
「…大好き。」
最後にこう言い、彼を抱き返した。
「うん。知ってるよ。」
彼は、笑ったあとで、こう返しながらさっきより少しきつめに抱きしめて、背中を撫でた。
一週間ぶりに一緒に寝られる日が来たので、ようやく早い時間からの睡眠を取ることにしたのである。
階段を降りて様子を見に行ったクールの前に、ちょうど終わったばかりの彼女が出てくる。
彼が両腕を差し伸べると、一度戸惑ったあとで、ぴったりくっついた。
「ん…でも、ちょっと違う。」
広げていた腕で包みながらこう言う彼に、きょとんとした彼女だったが、彼の腕が胴を巻いたので、すぐに腕を上げて彼の首元に掴まる。
「…そ。」
彼はそう言いながら、眠そうな彼女をひょいと抱き上げて階段を登った。
「あら、そんなに眠いの?いいわね。おやすみ。」
声をかけたユイレンに、彼が少し立ち止まり、抱えられたままの彼女が「おやすみ。」と返事をして、その二人は部屋に入っていった。
布団に入ったとき、
「…私って、恵まれてるんだよね…。」
と呟いたミミドリに、少し不思議に思って聞き返すクール。
「…俺と一緒にいるのが?」
「…それもそうだけど…なんていうか…その…。」
「……まぁ、わかるよ。」
言葉に迷っている彼女がさっき眠そうにしていたのを思い出しながら、彼は言葉を返した。
「普通は、俺みたいなのと一緒にはいられないからね…。捕まったらきっとただじゃ済まないよ。」
「…うん…。」
「…もう難しいこと考えんのは起きてからにしな…。喋れないだろ。」
「…。」
彼女には、眠気もさることながら、いつもの緊張と、伝え方に迷う気持ちがあったのだが、今、それもうまく表に出すことができなかった。
いつものように、腕にくるまれ額をくっつけると、一度は、このまま眠ってしまおうと思いかける。
しかし、今考えていることを起きたあとで覚えているだろうかと思うと、今言わないと気が済まなかったので、なんとか思考を巡らせて、
「…あのね。」
再び声を発した。
伝え方がよくわからず、最終的に伝えたいことだけをまとめて紡がれた、短くて簡単な言葉。
「……ありがとう。」
「…ん?」
「…一緒にいてくれて。」
「…うん。」
…ちゃんと伝わってないかもしれない。
それでも。言いたいことを、少しの勇気を振り絞って言えたので、伝わっていることを…そして、起きたあともお互い忘れていないことを祈って、
「…大好き。」
最後にこう言い、彼を抱き返した。
「うん。知ってるよ。」
彼は、笑ったあとで、こう返しながらさっきより少しきつめに抱きしめて、背中を撫でた。
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