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旧詩


彼女の声は良く通る。

沢山の屍の上で、頭に響く泣き声。
耳が痛い。煩いのでは無く、もう嫌になった悲しみが体に染み込んでいくから。

強く握り締めた拳の弱さに。
明日が来なくても仕方ない気がした。

それでも彼女が泣き止んだ時、明日が来ていて。

生きている事を、血が出た拳で、小さく確かめた。

彼女の掌、自分の拳。

小さ過ぎて、こぼれ落ちた。

こぼれ落ちて、消えていった。

今日が来たことを知らせる朝日に、


ただ
涙を流していた。









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