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旧詩


鉛筆と紙が擦れる音に
何か大事なものを落としてきた
気がしてしまう

薄っぺらい紙に
鉛色の文章を書いて 燃やす
蝋燭の溶ける匂いに
吐き気がして
鼻をふさぐ

割と風の吹いているベランダで
死ねるかどうかを確かめたくなったり
する

大切なものを落とせるほど
私は強くも、裕福でも無い
怖いだけ 臆病なだけ
何かを捨てなければならない時
私は何でも捨ててきたのだろう

蝋燭の溶ける匂いは
耐え難い悪臭で
電気の付いた部屋の中には
ライターと鉛筆が
並んで待っていただけだった











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