旧詩
私の脳味噌が暮れなずむ
サスペンダーで愛を示す
指きりげんまんこぶしを作る
ホレタハレタもまだ早い夢ぞ
一匹の犬が私にせがんで
首輪をひとつ買ってやった
自分で付けりゃ世話ないね
と
哂い合うのは4年も昔
私にこうべを垂れたあの日
優しさは死ぬる玩具に変わり
面白おかしく謡ってやった
繰り返される痛々しいオルゴール
噛み切った爪は涙も出ない
草原の中で蚊に刺された
頬の下にふくらみが出来て
足音だけが家に帰る
星を眺めて思考が霞んで
目ん玉の端を水が伝った
今日も明日に届いた頃に
約束事を忘れたまんま
針を千本飲まされた日にゃ
下らない朝もとうに隅っこ
僕の名前は何ですか?
と
考え合うのは4年も昔
何でもかんでも鉛筆の黒
鉛筆削りはコンセントを探した
部屋の明かりを鋭く反射させる
海豚に乗ってやってきた
災いは今もサスペンダーと共に
漆黒の帽子がよく似合う彼
一匹の犬の名前はサスペンダー
自分で名乗りゃ世話ないね
と
笑い合うのは4年も昔
私にこうべを垂れたあの日
サスペンダーを買ってやった