徒然
私は
詩と言う曖昧なものを音読し続け、
王様の前で歌うのだった
頭痛が治まらず、床に伏せっていると
もう生きる意味が無いようだった
三年間牢屋に入れられ、
外に出ると戦争が始まっていた
王様が命じたのだ
世界を焼き払えと、世界の広さを知らなかった愚かさの中
王様の国は滅んだ
王様の城は完全に焼かれ
王様は行方不明なのだそうだ
主が居なくなったので
私は詩という曖昧なものを音読し続けた
空き缶を歌う私の隣に置き
詩という曖昧なものを音読し続けた
そうして何年も生きた
ある日、私はあの王様では無い王様の前で
詩という曖昧なものを音読し続け、歌う事を命じられた
また頭痛が治まらなくなったが、もう牢屋に入るのは嫌だったので
ずっとそのまま歌っていた
後に、私は病気で死んだ
あの王様では無い王様の国は、
その後戦争を起こしかけたそうだ
戦争が起きる直前
あの王様では無い王様の国で
一人の老人が詩という曖昧なものを音読し続けたそうだ
戦争は起きなかった
一人の老人が歌う内容は
まさに私の詩という曖昧なものだったそうだ
私の詩という曖昧なものを
知っているのは
王様くらいしかいない
その詩という曖昧なものは、
一人の老人が死んだ後も
また誰かが歌ったのだそうだ
戦争は起きなかった
あの王様では無い王様の国で
戦争は起きなかった