このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

徒然

表情が必要な絵とそうでない絵がある。
無表情な瞳を隠して、微笑を浮かべる。
走り回り、滑り込んだ先にベッドがあると信じて。
閉じた口は、ほつれた糸を拾いながら開く。
駄菓子屋の紐の付いた飴。
潤いの無い荒んだ目が、脳裏を渦巻く。
包帯の白からはみ出したその、熟れた赤のおぞましい唇。
ぼたぼたと垂れる恐怖に下を向いた。
両の手から落ち、本体ではなくなった滴は、やがて鮮やかさを飢えさせ枯れる。
睨む穴の矛先に、お見通しだと言わんばかりの闇が、月が、携帯電話のカメラが。
あの眩しさは、どこに行ったのやら。
あの犬歯は、いつ見られるのやら。
溢れる、息。

聞こえる、



聞こえる。


53/125ページ
スキ