徒然
生まれた純粋な黒が空いっぱいに広がる。
情緒無く光るイルミネーションが、綺麗に見えるのは何でだろう。
手首の骨が疼きだして、真っ黒な世界の片隅に、交わる手が見えた。
そっと抱き寄せた響く音に、間延びした色を重ねていくことを繰り返して。
天に届くまでの作業工程が、跡形も無く真っ直ぐな線になるのをただ見つめていた。
砕け散ってしまわないかと、考えることも無く、黒は空にのびて行き、呼吸を繰り返す。
今まで存在していた闇が、黒に変わって、なんだそうだったのか、と安堵の声が密かに耳に届く。
たくさんの人々が、瞬く星をはじめて見て、この世界の美しさを知った。
目に見えるとは、そういうことなのだと知った。