徒然
刃渡り50cmの刑
見たこともない量の血を浴びて立つ
私はこんなもので出来た生き物だったろうか
生き物でさえあっただろうか
切り裂く音、振り切る音
閃光する瞳を
赤いフィルター越しに見た
焼き付いた世界の中にいる
「貴方って誰なの?」
跪き、唸る誰か
(ああ、この血は私のじゃないのか)
失血死は確実
他人の血を浴びている事実
私は今でも生き物だろう
(だってこんなにも、刃こぼれした刀を握っている)
顔を袖で拭ったら、視界がやけに広かった
暗がりの中、驚きと恐怖を湛えた瞳がこっちを見ているのに気付く
毛先から滴るもの
私はこんなもので出来た生き物なのだろう
(だってこれ程にも、汗ばんだ右手が、冷えきった左足が、殺意を示した脳が)
真直ぐ