詩
冬
徹夜だったので
早く目覚めた訳では無かった
少数と少数をかけて
小さくなっていく数を数える
その繰り返しに
終わりが来るのか
試していたところだった
となりに置いてあった
兎のぬいぐるみが
詳しく言えばぬいぐるみの目が
外を凝視して
おまけに
目を焼け焦がしていたので
何がそんなにもうれしいのか
知りたくなったりはしなかったが
ただ
この部屋の空気が悪いので
換気ついでに
ベランダに出てみることにした
水蒸気でくもった窓ガラス
きゅるきゅると煩く滑らせる
辺りはすこし霧がかっていて
曖昧な輪郭が
鉛筆線よりはっきりみえる
夢の無い幻想の中
怖いものでもなく
綺麗なものでもなく
ただ
目の前に漠然と存在する
ロボットが住む世界
本当にそうではない事も
知っているけれど
私の語彙では
うまく伝えられない
心情と風景
いつからかいなくなっていた
かれらのよろこぶ声がきこえ
何がそんなにもうれしいのか
知りたくなったりはしなかったが
ただ
この地球の空気が悪いので
換気ついでに
太陽を見つめてみることにした
目が焼け焦げてしまった
と思ったが目は見えているので
辺りを見渡すと
焼
私は笑顔だった
大空をバックに笑顔を輝かせていた
私は心底ほっとして
胸を撫で下ろした
つもりになる
明け行く空の眩しさに
私はあることを思い出す
朝が来たのは
実に二万五千年ぶりだという事
私は貧血ながらも
笑顔でぶっ倒れた