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この前
駅のホームで
携帯を落としてしまった

画面が破れていて
直後

携帯が哭いた



わたしが目を開いた時
あんたは目を閉じていて

あんたが口を開いた時
わたしは耳を塞いでいて

結局届かないのかと
ああ、距離と言うものを知る

"繋がっているものが
こんな玩具なんて
お安いんだね"

悲観過ぎるのかも知れない
卑屈過ぎるのかも知れない
ただちょっと
寂しいのかも知れない


携帯電話とは
携帯出来る電話の事で
どんなに離れていても
声が聞ける素晴らしい物の筈だ

そしてそれは

あんたが電話に
出ればの話だったりするので
八つ当たりの対象に
成やすい物でもある


破れた画面で
まだ生きている

細い糸が見えるようだ


息をしなくても
音が漏れる
空気が振動して
私を呼び起こす

電源を切らないのは
メールを待っているだけで
不在着信履歴なんて
表示させたくも無いからで


電池一つで
圏外なんて

細い糸が切れたようだ


充電しなきゃ
電波探して

元通りになるまで
少し時間を置こう

そうしたら 簡単に
全てうまく行けば良いのに


あんたはもう
携帯を買い替えた

わたしはまた
携帯を充電した


破れた画面で
まだ生きている


細い糸が落下したようだ


煩いから
電源を切ろう




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