詩
もういいよ
繰り返さなくて
間違えて押したのは
僕のほうだけど
暗闇の中、眺めるだけ
もう必要ないんだ
穏やかなのは
君の声音だけだけど
そうだ、あの映画を見に行こう
君のために指輪を買おう
サイズを尋ねるのは
露骨過ぎるけど
”君”は鳴り止む
光を閉ざす
電気仕掛けのそのカラクリ
”君”の向こうの君の声
映画は一人で見に行って
指輪は君に逢いに行って
もう必要ないんだ
もうこれっきりだ
”君”の電話帳を開く
君の名前
君の名前
もう、消しても大丈夫なくらい
近くにいられるから
置いていってごめんね
”君”
連れて行けたら
よかったんだけど