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なんでもないんだ今日は眠ろう
犬と喋るおじいさんは
昨日も同じ事を言っていた
布団の中で 両手を組んで
一滴の涙を流し
犬は傍らで伏せの体勢で眠った
明日が来るのをただ信じて
眠り続ける彼の為に

足音が部屋から消えて
寒さに足の指を折り曲げた
薄っぺらいこの布団は
もう
誰も必要としていないのか
そう感じるだけで
何もしてやれないのは
分かっているが

寂し紛れに
検索エンジンを分解して
一つ一つ見て回った
タグがボロボロと崩れ落ちて
スラッシュが画面に張り付いた

インターネットの接続を切って
マイクロソフトワード
を引っ張り出す
間も無く出てきたキャラクターを
クリックして回し続ける
その海豚は何事も無く
YESかNOを聞き続けた

電気も付けないで
画面を睨んでいた所為か
画面を笑っていた所為か
目に見えるものが
見えなくなっていた
悲しくないのも知っていた
けれど
多分
何かが
泣いていた
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