詩
悲しく等無い。笑うことを禁止されているわけでもない。
憂鬱になるのは勝手だ、他人という人間にとっては。
悲しく等無いのだ。
笑おうと思えばきっと笑える。
だから己は、笑いたい時が来るまで、笑おうとは思わない。
優しさもいらない。
嘘じゃない。
水溜りを作る癖を持つのは、己一人で十分だ。
サディストになれる他人と、マゾヒストになろうとする他人は、溺れるだけだから。
己もまた、溺れたい。
大きな渦に呑み込まれて、窒息してしまえばいい。
アコースティックギターの音は、一向にCDを吐き出さない。
絶対あの大きな体に、紛い物を組み込んでいるのに。
優しい音がするのは、錯覚だ。
騙されるのも騙すのも、慈悲でも狂気からでもないのだ。
美しいこの音楽も、最後にはきっと嘘になる。
それなら、疑ってかかるより、全てを信じてしまえばいい。
そうすれば、己は何にでもなれるのだ。