詩
腐れ外道の座布団が一つ
風邪気味の遺言書は風に乗り、命を運ぶ
春に死者を呼び覚ませり
生きている繰り返しをたっとう美しき性
歩きざまに脚を失せるならば
空を飛ぶような両の手で
限りない跳躍を望む
荒涼たる世界に、世界以外の名前を知らず
美しき心の青さはまさに海
死ぬまで部下は会えもしない
外道の涙を露とも知らず
大往生を遂げる事となる娘は
駅前の路地裏にて癇癪
買った喧嘩を踏みつけながら
切れた口端をいたわることを忘れている
娘の言葉を仇とも思わず
『世界は美しい』
少年が拾う
それは珍しい苗字の遺言書