詩
背骨の曲がった人達の巣窟で
私は一心不乱に人を刺していく
一人殺して、私には愛せない人が、それこそ山のようにいることを知る
煙草の匂いに何度も辛くなりながら
思いあがった人間の背中にむけて、赤く光る包丁を逆手にとる
ふり返ったら誰もいない
そんなことがあればと思う
煙で見えなくなるのなら
私を愛せないどこかの誰かが、私の猫背を刺してくれることを願う
どの脊椎も曲がりくねる運命
千切れるような背伸びも、四十肩に効く肩回しも、する必要はないのに
誰かが
すべての他者を討ち滅ぼして
私にひとりを与えてくれたなら
美しく浮き出た背骨を、とけるまで撫でて
いつまでも、眠らないのに