詩
わたくしの不安を、喉を捩じ切るような腹の底を、思い出すこともかなわぬ人を、濡れた床が映しています
光の線がわたくしの足を反射し、真の暗やみを部屋の隅に見遣るのです
今、何処に立ち尽くしているかも分からず、わたくしは、わたくしには見えないものが幾つもあるのに、この部屋はなんと暗いのだろうと思うのです
温かいものがわたくしの心臓だけであるのに気付いて、わたくしは、この暗やみの為に息を殺すことを選ぶ
跡を残す波の輪を見つめ、頬を伝う涙を拭うとき
わたくしはまだ、わたくしの温かいしずくをいとおしく思い、ふと、あの人の頬の熱さを思い出す、夜が来るのです