詩
僕はあなたのあなただけの為の幸せを望むことは出来ない
うつつに伸ばした手が六本の指でも、甘えるように振り切ることをえらぶ
握りしめて血を流せるほどの力を僕はもっていないから
明るみに這わす足先だけで何もかもを健康的な色にさせてしまうなんて勿体ないことはしない
鮮やかな暗がりでひと息を吐く瞬間の
散り散りになる音色のような声を一生待っている
揺らめく灯は消してしまえばいい
目を潰す闇を、あなたの瞳を捕らえる自信を僕はきっと失わないだろう
あなたをいだいた僕の両肩は冷たく、死をもたらすものにいずれ敵う
空気では閉じないひとひらの露が
熱い蝋になってあなたを苛むのなら
耳の軟らかい骨を穿つ自愛の覚悟を、僕はあなただけに見せよう
あなたが深い眠りにつくときのことは考えない
神さまに訪れる孤独を知る日を、あなたは暦に記そうとしている
ペンを握るあなたの手を、僕より一回り小さな手を、僕はそっと触れて目を瞑る
僕があなたに許されたなら、この日常が、あなたの為にあるべき僕のもので在ってほしい
午睡のあなたが、僕をよぶ、
光がさす静かな一室
生活