詩
押し寄せる必要の無かった絶望感と
雨の臭いと真っ暗な空が
寒さを煽って涙腺が揺れる
こんな時に詩人は詩を書くのだろうと思ったが
それ自体に重みは無く
何も入っていないポストを確認して
扉が閉じる音が
雨音に掻き消されて
いくのが分かった
肩がむしょうに寂しく痛み
片手で押さえる手は
弱々し過ぎて
一人だということ
新聞がまだ来ていないこと
冷え症だということを
無駄に強く感じてしまった
TVのミュージックは
サックスとベースとドラム
歌声は聴かず
音量を変えずに流した
こんな時に詩人は詩を書くのだろうと思ったが
思っただけなので
どうしようも無かった