詩
ひどいことのように目を見開いて睨まれて、
怯んで、揺らぐ。
一歩下がって目を逸す。
垂れ下げた右腕。
高鳴る心臓が、安らぎを得るのに、この膠着状態に陥るのに、一体いくらかかったか知れない。
人差し指の先から、ぷくりと、
絵の具のように溢れた血が、重力によって落ちていく様を眺めているのはあちら。
指先が、ジンジンと、痺れる風に感じているのはこちら。
右手をゆっくり眼前にやり、それを眺めながら。
睨み返すこと、何か言うことは無く、どこか気分が良かった。
疲れたように目を閉ざして、それから目を開いた先に、苦しみを求めているような目が二つ。
あちらは遠くて暖かいのに、こちらは近くてとても寒い。
その温度差に触れようとして、右手を前へ。
あちらから、
後退りの音が聞こえて、また血が零れた。
恐くなって目を伏せた、のはどちらだったろうか。
指を切った鋭いものは、すごく熱かったのかも知れない。
指先に届いたこの温かさは、ある種の幸せに見えてしまっているのに。
捨てられたように行き場を無くした右手は重くなって固まり、
孤独に苛まれた顔をした。
ただ冷える世界より、カイロ一つあれば良かったのに。
涙か汗か、さっきの血よりはやすやすと流れ落ちるのを、多分、二人で見ていた。
終
