異邦人大系 (+版) 一章『不穏との遭遇』









「今更になって逃げようとすんなよ、少年───」


「……痛っ」



右大腿部に続いて更に
右肩と左脇腹を──。

氷堂の言葉の意味を
理解したのと同時、
身体を反射的に起こし
その場を脱しようとした
優人だったが、放たれた銃弾に
それを容赦なく妨害された。

痛みに息を切らせながら
優人はゆっくり身体を起こす。
氷堂は煙草を足元へ捨てると
ジリッと足で踏み消した。





「…祟場、漸く動き出したか」



氷堂が一人、呟き
夜の街並みへと視線を
移した時だった。

一層、怒りの滲んだ
プンスカの鳴き声、
優人の直ぐ顔の側から
感じられる高エネルギー反応。





《プキキキキキキキ…ッ、プンスカァー────ッ!!!!!!》


──ズドォオオオンッッ!!!!!!




 
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