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〈壱〉の巻

 
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 一番、最初に視界へ映った
 ソイツの声を。……“おれ”は、
 しくも覚えがあった───…。
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『─────こいつぁ…。また、やけに。まぶッしい所だなァ~。目がいてェ……』


「───お目覚めですか、白子しろこへびよ。ご気分の方は如何いかがでしょう?」


『…………、あの世ってもんは──。もっと、綺麗きれいな所なのかと思ってたんだが…。───案外あんがい狭苦せまくるしい所だなァ~……』


「それは、それは。ご期待を裏切りましたご様子で。申し訳ない───、」


『……“捨て置け”、と。俺は、アンタに。確かに、げたはずだったが────??』


「…ふふっ。おやまぁ、怖い怖い。──何でしょうかね? これまた、第一印象からはだいぶ掛け離れたお方のようにお見受けしますねぇ……」


『───コチラこそ?、“ご期待”を裏切った様で、すまないな。……悪いが、これが俺の素面すめんだ。気に食わないなら、いつでも元のむくろかえしてくれりゃあいい。こちとら、万々歳ばんばんざいだからよォー??』


「ほう? …万々歳ばんばんざい、とは。これまた。くっくっく──…」


「───げる足もありませんでしょうに『」げる足もねぇーけどな──?』



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二つの科白せりふ綺麗きれいに重なって。
一人と一匹は、視線を合わせる。


 
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