異邦人大系 (+版) 一章『不穏との遭遇』
プンスカの衝撃波は
確かに一直線、氷堂の元へ
直撃したかと思われた、しかし──。
「………
氷堂の立つ一定距離からそこは
丸で何事も無かったかのように
シンと静まり返っていた。
氷堂は勿論、その辺り一帯が
全くの無傷だったのだ。
そんな事には一切、触れず。
「急所はワザと外してある。少年はここで大人しくしてな──」
「…………っ、」
氷堂が第三指揮官であった実力を
まざまざと優人は目の前で
見せ付けられた───。
氷堂は新しい煙草を銜える。
「──足掛かり、とか言ってましたね…」
「そ。あんな宣戦布告なんかされちゃ堪らない。手始めに君の先生を
「……回りくどい事、なさるんですね」
「“策士”と呼んで欲しいね」
「死んでも呼びません」
「つれないね」
それに軽く笑ってから
氷堂は煙草へ火を付けた。