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異邦人大系 (+版) 一章『不穏との遭遇』









「────水神すいじん、召喚。霧烏きりう氷雨ひさめ


──ドォン、ジュウウウッ



祟場の水壁による防御術。
炎と水。その場に
凄まじい音が轟いて──。

優人は只々、圧倒された。





「………凄い」



優人は驚きに言葉を零す。

氷堂の攻撃が止み、
祟場も防御を解除すると
辺りは既に崩壊を遂げ
一面、水浸しの状態だった。

静まり返ったその場へ
ポツリと氷堂が静寂を破った。





「────天昇てんしょうみだれ」


──ピシィ…、ドガガガガッ


「!」



一面に氷の柱が召喚される。
その名の通り天に昇るような形で
氷の柱が足元から咲き乱れた。

祟場の水の防御壁を
逆手に利用した氷堂の攻撃。

迫る氷柱に祟場は
舌打ちをする。





「───火神かじん、召喚。炎生えんじょう羅刹らせつ



火の神、召喚──。
祟場の巻き起こした火柱が
今度は氷堂の氷の柱を
次々と呑み込んで行った。

次々に迫り出して来る氷柱と
それを包み込み消し去るという
氷堂と祟場の戦いが繰り広げられた───。















──ジュウウウウウウッ…


「やるじゃないか、祟場──」



霊力と霊力とのぶつかり合いに
溶けた氷の飛沫が舞って、辺り一面は
巨大な水蒸気の渦へと呑まれ
互いの視界を塞ぐ───。





「……………」



轟音の後の静寂。
緩やかに視界が晴れて行く。





「………て、祟場?」



緊迫の攻防から一転、
またしても姿を眩ました師弟へ
氷堂は拍子抜けして立ち尽くした。

幾ら何でも普通、ここまで
やり合って置きながら消えるか?

呆れ、苛立ち、拍子抜けした
氷堂の声が悔しさを滲ませ
夜の摩天楼に木霊した───…。




 
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